新型うつ病とは?

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うつ病といえば、気分が落ち込んだり、やる気が起きなかったりといった症状がでる病気だと思われがちではないでしょうか。

従来のうつ病であればそういった症状に悩まされますが、新型うつ病の場合は、嫌なこと、避けて通りたいことにぶつかった時に限り、具合が悪くなってしまうのです。
好きなことや楽しいことであれば、元気にやり遂げることができますので、ただの我がままだと周囲からは思われてしまいますが、これも病気なのです。

新型うつ病は、若い世代のどちらかといえば女性に多い病気です。
発症の原因は、辛いことからの逃避です。
嫌なことから逃れたいという逃避的な心理が働きます。
ストレスを抱えることで心が疲弊するだけでなく、そこから逃れたいという気持ちからうつの症状を発症するのです。

また特徴として、自分の失敗や都合の悪いことを全て周囲のせいにする他罰敵といわれる傾向もあります
そして被害者のように訴えることも少なくありません。

こういった態度が周囲から我がままだと感じられる大きな要因なのです。

新型うつ病の症状

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新型うつ病の主な症状は、自律神経の乱れによって起こる頭痛や抑うつ、めまい、動悸、呼吸困難、意欲の低下などが挙げられます。
これらは、新型うつ病の特徴である嫌なことや、避けて通りたいことにぶつかると現れる症状です。
好きなこと、楽しいことなら元気に取り組めるのです。
つまり、やりたいことしかできなくなるのです。

嫌なことから逃れたいという気持ちの現われなのか、長時間眠ってしまうこともあります。
一日に10時間以上眠り続けることも少なくありません。
酷い時は、嫌な場面で眠ってしまうこともあるほどです。

そして、気分のアップダウンが非常に激しく、コントロールができなくなります。
不安定な気分を周囲にぶつけることも多く、イライラした態度をとったり、攻撃的な言動をとったりと周囲を振り回す傾向があります。

また、不安な気持ちが非常に強いときはパニック発作を起こすこともあります。
パニック発作は予測がつかない場面で起こりますので、その不安に駆られて、外出もままならなくなり、引きこもりにつながる可能性もあります。

うつ病と我がままの境目

新型うつ病は、自分の好きなことはできる、でも嫌なことになるとうつ症状が現れるため、周囲からは我がままな性格だ、と思われがちです。
しかし新型うつ病は病気なのです。

では、うつ病なのか、性格的な我がままなのか、どうやって見分ければいいのでしょうか。

医療現場の判断基準としては、それによって身体的な症状が出るか出ないかによって、診断していきます。
たとえば、会社に行くのが嫌だ、はただの我がままですが、会社に行くと息が苦しく呼吸困難を起こす、これは病気です。

しかし、これでは判断に個人差がでてくるため、最近では「グローバルつ病評価尺度」というものを用いて診断していくことが多いようです。
これは日本の精神化医療の現場で、基準を明確にするために開発されたテストです。
テスト①ではうつ病の判定を行い、テスト②ではそれが従来のうつ病によるものか、非定型うつ病によるものかを判定していきます。
このテストで、①でうつ病の基準を満たし、かつ②で非定型うつ病の判定がでれば、新型うつ病だと判断することができます。

しかし、①でうつ病の基準を満たさないのに、②で非定型うつ病の判定が出れば、それは我がままによるものだと解釈することができます。

新型うつ病にかかりやすい性格的傾向

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新型うつ病だと診断される人の性格にはいくつかの共通点があります。

まず挙げられるのは、自己愛が強く、利己的な理由で行動するタイプの人です。
周囲の人や物事よりも自分の気持ちや事情を最優先に考えます。
そのため、自分のやりたくないことや、不都合なことを指示されると、自分を傷つける敵のような存在に感じてしまうのです。
また自分以外の人のために何かしたい、という他者への奉仕の気持ちが希薄であり、こうした出来事はデメリットだと捉える傾向があります。
そのため自分が犠牲になる状況を与えられると、被害者意識を強く感じてしまいます

このように、自己中心的な行動をとる一方、他人からの言葉には敏感に反応し、些細な一言でもすぐに傷ついてしまいます。
しかもその傷は深く、一度傷つけられるとなかなか立ち直ることができません。
それがほめ言葉であったとしても、素直に受け取ることができず、ゆがんだ捉え方をして傷ついてしまうことがあるため、周囲の人からは扱いが難しい面倒な人だと感じられる性格です。
物事をネガティブに捉えやすい性格も新型うつ病には多いタイプです。

従来のうつ病と新型うつ病の比較

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従来のうつ病と新型うつ病は症状も現れ方も内面的な精神状況も対照的な場合が数多くあります。

どちらのうつ病も自律神経の乱れによる頭痛やめまい、吐き気、動悸、呼吸困難などはありがちな身体症状です。
違いといえば、従来型のうつ病は食欲不振に陥るのに対し、新型うつ病の場合は過食傾向が強くなります。
食べることで、ストレスを発散させるかのように、ドカ食いに走ってしまいます。

また従来のうつ病はなかなか眠れない不眠や途中で起きてしまう中途覚醒などの睡眠障害が典型的ですが、新型うつ病の場合は、辛いことから逃げ出すため過眠になる傾向があります。

常に気力の低下している状態が従来のうつ病ですが、新型うつ病は好きなことや楽しいことは元気にやることができ、嫌なことに限り気力が低下してしまいます。
そして、従来のうつ病は真面目で我慢強く、自罰的傾向が強いタイプに多く、新型うつ病は自己中心的で周囲に責任転換する他罰的傾向が強いタイプに多く、発症しやすい性格も正反対なのです。

会社にとって厄介な新型うつ

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新型うつ病を含む非定型うつ病と診断された人たちに共通する特徴として、親に強く叱られた経験がないというものがあります。
このような人が社会に出て、初めて上司に厳しく叱られると強く動揺し、ショックを受けてしまうのです。
上司を敵のように感じ、被害者意識を持つこともあります。
中には叱られたショックがトラウマとなり、出社できなくなる人もいるほどです。
このような傷つきやすい若者が新型うつ病を発症しやすい傾向にあります。

そして現在では、ほとんどの企業で非定型うつ病の診断書を提出すると従業員に対して休職を認めているのです。
ですが、企業側は申請している従業員の症状をきちんと把握しているわけでもなく、本人の申請をそのまま対処するに留まっている状況です。
うつ病について正しい知識もないため、うつ病の従業員に対してどのように接してよいのか見当がつかないのが本音ではないでしょうか。

最近はうつ病の患者が急増し、それに伴い休職数も増加しつつあります。
そのため企業側も今までのような受身の姿勢ではいけないと痛感し、こうした従業員への対応についてセミなーなど頻繁に行われるようになってきています。

新型うつと間違われやすい病気

新型うつ病はよく似た症状が現れる病気があるため、診断が難しい病気です。
間違われやすい病気の中に、パニック障害、人格障害、双極性障害、統合失調症などが挙げられます。

パニック障害は、不安が原因で突然激しい動悸や呼吸困難を起こす病気ですが、新型うつ病もパニック発作を伴うことがあるため、見間違うことがあります。

人格障害は、幼少期の親子関係などが原因で、自傷行為や破壊行動などを起こす病気です。
新型うつ病も極度の対人不安や緊張で自傷行為を行うことがあるため、その判断が難しい場合もあります。

双極性障害は、躁と鬱状態が交互状態にやってくる病気です。
新型うつ病も、気分のアップダウンが激しいため、判断がつきにくい場合もあります。

統合失調症は幻覚や幻聴などが起こる病気で、新型うつ病の患者に多い、被害妄想と似た症状のため間違われやすい病気です。
実際、新型うつ病だと重い受診されて、統合失調症だと判明する人も少なくありません。

誤った判断により、本人や周囲がたいしたことじゃない、と思い込んで治療に受けずにいると重症化する可能性もありますので注意が必要です。

新型うつ病に効果的な抗不安薬とは?

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新型うつ病の主力となる治療法は、抗うつ薬を用いた治療ですが、軽症の場合に見られる不安感に対しては、抗不安薬を用いる場合もあります。
抗不安薬には、作用する時間や作用する強さによって、いくつかの種類に分けられますので、不安の感じ方によってそれらを使い分ける必要があります。
たとえば、一時的に起こる強い不安感に対しては、即効性があり、速やかに症状を緩和させるものが必要です。

服用後、10分ほどで効果が発現しますので、不安を感じる場面の30分ほど前に服用すると良いでしょう。
一日中不安だったり、いつ恐怖や緊張に見舞われるか予測がつかないような症状の場合は、長時間作用が続くタイプを定期的に服用するほうが向いています。

また、一日中不安が続いているけれど、とくに会議の席での緊張が激しい、通勤時の強い動揺を緩和したいなどという場合は、作用時間の長いタイプと即効性のあるタイプを組み合わせて服用する場合もあります。

いずれにしても、医師の処方のもと少量から服用し、合う種類と量を見つけていくことが重要です。

新型うつ病に効果的な内観療法とは?

新型うつ病の治療の主流は薬物によるものですが、新療法もよく行われる方法です。

心理療法の一つに、内観療法というものがあります。
これは過去の行いや人間関係を振り返ることで、自分自身を見つめなおし、自分のあり方に気づきもたらすことを目的とした治療法です。
やり方は、両親や配偶者などの身近な人を対象に、自分がしてもらったこと、それに対して自分がして返したこと、迷惑をかけたことの3つを自分が小学生の頃から年代順に挙げていきます。
記憶をなるべく詳細に思いだすということは、決して簡単なことではありませんし、中には思い出したくない体験や行動もあるかもしれません。
しかし、ゆっくりと時間をかけて振り返ることで、周囲の人々への感謝の念や温かい気持ちが沸いてきます。
そしてそれをきっかけに関係性を再構築できるようになっていくのです。

内観療法は1週間施設に宿泊し、カウンセラーの指導のもと集中的に行う集中内観と、日常の中で少しずつ行う日常内観があります。
集中内観を行う施設は全国に複数あります。